2024.12.16 19:06
③高嶺の花の秘密。黒髪美人が落ちる夜
二人で向かった小さなバー。
大学から少し離れた静かな場所だった。
雪穂は普段の清楚な姿とは違い、髪を少し崩し、ラフなワンピースを身にまとっていた。
そのギャップに僕は心臓が高鳴るのを抑えられない。
カウンター席に座り、彼女は赤いカクテルを口に運ぶ。
柔らかな唇がグラスに触れるたびに、僕の視線は釘付けになった。
「先輩って、不器用ですよね。」
不意にそう言われて、ドキッとする。
「え?」
「だって、いつも私のこと見てるくせに、何も言わないんだもん。」
彼女は僕の初恋の人と似ている。
けれど、その瞳にはもっと情熱的な炎が宿っていた。