歌舞伎の舞台には
表には見せない色気があると聞きます。
大胆な隈取と華やかな衣装
大見得を切るその一瞬に宿るのは
荒々しさと同時に
秘めた優しさや情欲のようなもの。
実際に観たことがなくても
その所作一つひとつに
触れられているような錯覚すら覚えるのは
私の想像が過ぎるからでしょうか。
女形のしなやかな動きにさえ
指先から伝わる熱を感じてしまって
ふと 自分の所作まで
艶やかに見せたくなってしまいました。
もし今夜、私が舞台に立つとしたら
貴方様はどんな目で見てくださるのでしょう。
衣擦れの音ひとつにも
期待と甘さを込めて
そっと演じてみたいのです。